40代の社会人・大人の方が「学び直し」に選ぶのはどんな内容なんでしょう? 総務省の統計からまとめました。
この記事の目次
学び直しって、そもそも何?
「学び直し」に関する議論は、2017年に政府に設置された「人生100年時代構想会議」から始まりました。
この中で「変化に対応できる力」を養うことを目的に、学び直しが重要視されています。
背景として、少子高齢化の中の人生100年時代、またSociety5.0の到来などの経済や社会の大きな変化に対応していける、個人の力を養うことが重要と考えられていることがあります。
また、2020年の新型コロナ感染拡大にともなう社会・経済の混乱もあり、「変化に対応できる力」がより問われる時代に突入したと言っても過言ではありません。
IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことが出来る社会(Society)のことです。
直訳すると「社会 Ver.5」という意味で、Society 1.0:狩猟社会、Society 2.0:農耕社会、Society 3.0:工業社会、Society 4.0:情報社会に続く、Society 5.0:人間中心の社会と定義されています。
ロボットや自動走行車などの技術革新、また必要な情報が必要な時に提供されることで、少子高齢化・地方の過疎化・貧富の格差などの社会課題の克服が期待されています。
「学び直し」には新しいことにチャレンジすることも含まれる
ところで、今使われている「学び直し」という言葉には、自分がまったく知らないこと、未経験のこと、新しいことを学ぶことも含まれます。
「学ぶ」という行動が、学校を卒業したら終わりではなく、学ぶこと自体をやり直す、学び続けるといった意味で使われています。
ですから、中学校や高校・大学で学んだことを、もう一回勉強するといった意味合いだけではなく、まったく経験のない、たとえば簿記などの資格であるとか、趣味の教養であるとかを学ぶことも「学び直し」に含まれています。
社会・経済の変化はスピードを上げ続ける
これからも、社会は大きく変動していくことは間違いなく、さらにその変化のスピードは上がり続けることは想像に難くありません。
しかも、近年の新型コロナ感染拡大による世界と社会の混乱が、変化のスピードを上げていることを実感されている方も多いのではないでしょうか。
今、40代のみなさんが60代を迎えるころ、どんな経済・社会状況になっているのか、正確に予測できる人は多分だれもいません。
学び直しが出来る力を養うことも大切
そのために養うべき力である「変化に対応できる力」には、「学び直し」を躊躇わずに抵抗なく行える行動力、つまり「学び直しが、できる力」も含まれていると考えてください。
そのためには「学び直し」を習慣化しておくことが大切です。
新しい知見や技術を取り入れることに抵抗感やハードルを下げておくことは、これからの時代を楽しく生きるために必須のスキルとも言えます。
これまでは漠然と「好奇心」とされていた、新しいことにチャレンジする力をスキルとして身に付ける必要がある時代になっていきます。
40代の3分の1以上が「学び直し」をしている
総務省統計局の「社会生活基本調査」によると、学習・自己啓発・訓練、つまり「学び直し」を、社会人・大人が実際に行動に移している割合は、40代では3分の1以上の34.8%に達します。
ただ、40代に特徴的なのは30代に比べると、やや比率が低くなることで仕事の場面でも生活の場面でも、まさに「主力」となる世代であることが分かります。
40代の「学び直し」にどんなジャンルが選ばれてる?
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
おなじ統計によると、40代の「学び直し」で一番人気があるのが「パソコンなどの情報処理」、次いで「商業実務・ビジネス関係」、「英語」と続きます。
40代では仕事でのスキルアップやキャリアアップ・キャリアチェンジに直接役立ちそうな「学び直し」が選ばれているのが分かります。
パソコンなどの情報処理の学び直し
「パソコンなどの情報処理」は、政府でもデジタル庁の発足が決まるなど、これまで以上に生活にも仕事・ビジネスにも深く関係する場面が増えてくることが確実です。
どこの職場・業界に転職してもパソコンスキルが求められないことはないでしょう。
実際に取り組まれている方も増えていますし、キャリアアップ・キャリアチェンジのためにも、おすすめの「学び直し」ジャンルです。
商業実務・ビジネス関係の学び直し
40代で「学び直し」される方が多いのが「商業実務・ビジネス関係」です。
パソコンスキルも重要なビジネススキルであることを考えると、「パソコンなどの情報処理」と合せて、大多数の方がビジネスに役立つ「学び直し」を選ばれていることが分かります。
ビジネスシーンでも新しい価値観や概念、たとえば「ハラスメント」や「個人情報保護」「情報セキュリティ」など、ビジネスや職場環境に必要な新しい知識や概念が登場してきています。
商業実務・ビジネス関係の「学び直し」に取り組むことは、部下や後輩を持つことも多い40代が、より信頼される先輩・上司を目指すのにもおすすめです。
英語の学び直し
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
新型コロナの影響で人の往来が制限されている分、オンラインでのビジネス交流はますます盛んになっていますし、経済のグローバル化は拡大の一途で、英語の重要性はますます高まります。
ただ英語の「学び直し」で特徴的なのが、年代が上がるにしたがって取り組まれている方の比率が下がっていっていることです。
やはり、語学に取り組むには、より若いうちの方が有利ということが分かりますし、グローバル化に年代が若い方ほど迫られているとも言えます。
伝わる英語・使える英語を身に付けるには?
ひとつアドバイスとしては、ビジネスシーンで必要なのは「上手な英語」ではなくて、「伝わる英語」です。
受験で使うような英語や英文法のお勉強ではなく、とにかく話して慣れるオンライン英会話レッスンなどの方が就職・転職に役立つ「使える英語」を身に付けることができます。
キャリアアップ・キャリアチェンジを考えられるときに、おすすめの「学び直し」のひとつであることは間違いありません。
40代の男女で学び直しを比較してみると?
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
40代の社会人・大人の「学び直し」を男女で比較すると、明確な違いが見られます。
男性では「商業実務・ビジネス関係」の学び直しをされる方が多く、「料理・裁縫の家事関係」は少ないです。
逆に女性では「料理・裁縫の家事関係」の学び直しを選ばれる方が多く、「商業実務・ビジネス関係」の学び直しをされる方が明確に少なくなります。
料理・裁縫など家事関係の学び直し
料理などの家事関係の学び直しは、人生を楽しく豊かなものにしてくれます。
食育や食生活について学ばれる方も増えていますし、栄養バランスのとれた食事は生活習慣病などの予防にもつながります。
40代のうちに料理や家事関係の「学び直し」に取り組むことは、その後の自分や家族の体調管理にも役立ちます。
選ばれる「学び直し」を30代と比較すると?
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
40代が通ってきた30代と、選ばれる「学び直し」を比較してみると、傾向に大きな違いは見られません。
ただ、40代になると全体的に「学び直し」に取り組まれる方自体が減るため、全体的に低くはなっています。
また、比率で見ると40代では「商業実務・ビジネス関係」の学び直しに取り組まれる方が多くなっています。
40代になると、より仕事が充実し、実際に仕事で使えるスキルや資格を学び直しに選ばれていることが分かります。
40代は実用的な「学び直し」に取り組む機会
40代の方が「学び直し」に選んでいるジャンルや傾向をご紹介してきました。
全体的には「パソコンなどの情報処理」「商業実務・ビジネス関係」「英語」など、ビジネスシーンにすぐ使えるスキルや資格・知識を「学び直し」に選ばれる方が多いのが40代の特長です。
また、40代女性では「料理・裁縫の家事関係」など、生活に役立つ「学び直し」が選ばれています。
どちらも、仕事や生活の「主力」として実用的な内容が「40代の学び直し」に選ばれています。
- パソコンなどの情報処理
- 商業実務・ビジネス関係
- 英語
- 芸術・文化
- 料理・裁縫の家事関係
おうち時間が長くなる今、おすすめなのはオンライン習い事
おうち時間を過ごすことが長くなっている今、40代の学び直しにおすすめなのは、オンラインで受けられる習い事です。
勉強・学習から資格取得までスマホで完結する講座など、オンライン習い事が充実してきています。
特にスマホ完結のWEB学習・通信教育だと、電車での移動時間やちょっとした隙間時間を活用した学び直しが可能です。
また、そういった時間を有効活用できるようにプログラムが組まれていますので、無理なく「学び直し」に取り組めて、新しいスキルを身に付けたり、スキルアップが図れたりします。
1日15分・30分でも「学び直し」に充てると、さきざきの人生の楽しみが変わってきますよ♪
ぜひ、ご自分の興味・関心に合った「学び直し」を選んで、充実した時間を送ってください。