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新しい生活様式と徹底した行動変容とは?
専門家会議の会見によると「新しい生活様式」とは、新たな感染者数が限定的になった地域での今後の取り組みを指すようです。
密閉・密集・密接のいわゆる「三密」の回避やテレワークの普及、手洗い・消毒の徹底、マスク着用の徹底、フィジカルディスタンス(ソーシャルディスタンス)の維持など、感染拡大を防ぐための取り組みを、今後も中長期に渡って継続していくことを指しているようです。
新しい生活様式って要は「ニューノーマル」?
要するに海外で言うところの「ニューノーマル(新しい・当たり前)」を、日本風に言うと「新しい生活様式」になるのではないのでしょうか。
世界の経済の専門家が既に「ニューノーマルに備えよ」と言ったことを言い始めています。
マーケティングが専門の経済学者フィリップ・コトラー教授は「ウイルスと暮らしながらコントロールし、充実した生活を送れるようにする」ことを「ニューノーマル」と呼んでいます。
日経ビジネス
我々は細菌やウイルスと暮らしながら、それらをコントロールすることを学ぶ必要がある。多くの人々が充実し満足する生活ができる機会が得られる「ニューノーマル」をつくっていくべきだ。
コトラー教授のウイルスと共存した世界でのマーケティング論や経済論は興味深いのですが、今の時点ではコントロールする方法を学ぶことの方が重要な段階です。
まさにこのコントロールする方法を、みんなが身に付けた状態が「新しい生活様式」と言って良いのではないかと思います。
徹底した行動変容って要は「外出禁止」?
それに対して「徹底した行動変容」「厳格な行動変容」という言葉は、要は『外出禁止』とは言えない日本の法律の中で編み出した言葉のようで、専門家会議の説明の中ではほぼ同義で使っています。
尾身副座長
出典:HUFFPOST
一度感染者数が落ち着いても「もう一度小さな波が来ることは当然ありうる」と指摘。その場合、再び徹底した行動変容をとる必要があるとした。また、徹底した行動変容を課すか、一部緩和するかの判断基準については、▽新規感染者数が一定の水準以下に抑えられていることや、▽医療提供体制が確保できていることなどを挙げた。
「課す」という言葉を国語辞典で引くと「意味は、人に対して一方的に引き受けさせて義務を負わせること、強制的にそれぞれに割り当て責任を持たせることです。」とあります。
「外出自粛を課す」と言うと日本語として破綻してしまうので「徹底した行動変容」という言葉を編み出したのではないかと思います。
今後は「ちょっと緩める」と「厳しく制限」の繰り返しになる
ウイルスをうまくコントロールした状態、生活はしてるけど感染を広げないように行動する状態が「新しい生活様式」で、それは分かりやすく言うと「今よりちょっと緩める」ことですね。
今後は、地域ごとの感染の拡大状況に合わせて「ちょっと緩めた状態=新しい生活様式」と「厳しく制限=徹底した行動変容」の繰り返しになる(可能性がある)。
というのが、専門家会議の見立てのようです。
専門家会議
出典:HUFFPOST
新型コロナ対策は「新しい生活様式」と「徹底した行動変容」の繰り返しになる可能性。専門家会議が見解示す
新しい生活様式の具体例は5月4日に発表予定
政府の会見によると「新しい生活様式」の具体例を5月4日に発表するとのことでした。
西村担当大臣の会見でも、「できるだけ家にいて人と接触しないということ」が内実的には「徹底した行動変容 ⇒ (実質的な)外出禁止」と読み替えると分かりやすく、「新しい生活様式」とは、要はそれを「ちょっと緩めるよ」という意味に取れば理解がしやすいです。
西村経済再生担当大臣
出典:FNN
これまではできるだけ家にいて人と接触しないということ。(中略)状況もみながらではあるが一定の行動については緩和していこうという方向。ただ、そこで接触が多く起こると感染が広がる可能性があるので、いわばスマートな形での生活様式の提案が(専門家会議から)なされた。
テレワークは「新しい生活様式」に入る?
現在の「徹底した行動変容」の段階でも推奨されてきたテレワークは「新しい生活様式」の中に入るのでしょうか?
「新しい生活様式」は人との接触を最小限に抑えながら日常生活を送ることを指すようですから、テレワークもほぼ間違いなく「新しい生活様式」の中に含まれると考えた方がよさそうです。
テレワークとは「tele=離れた所」と「work=働く」をあわせた造語で、ICT(情報通信技術 = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間に柔軟な働き方のことを言い、働く場所によって、自宅利用型テレワーク(在宅勤務)、モバイルワーク、施設利用型テレワーク(サテライトオフィス勤務など)の3つに分類されます。
テレワークも長丁場に!?
専門家会議の会見では、コロナ感染症への対応が「長丁場」になることが強調されていました。
専門家会議
出典:FNN
新型コロナウイルスの短期的な感染の終息は考えにくく、また国内の感染状況に応じて持続的な対策が必要になるとされている。
また同時に「自粛疲れ」に対する懸念も示していて、出来るだけ無理なく対策がとれるように、つまり慣れられるようにという意味でも「新しい生活様式」と表現したようですから、テレワークへの取り組みも中長期的なものが求められていきます。
テレワーク普及で変わる働き方
緊急事態宣言が最初に出されたのは4月7日でしたが、急といえば急なことでしたし、特に中小企業ではテレワークの導入は「検討はしているけれども・・・」という企業も多かったようです。
ですが、今回「新しい生活様式」として中長期的な対策の取り組みとして求められると、テレワークの導入に踏み切る企業も増えて来そうです。
社内SEがいる会社ばかりではないでしょうから、準備に時間と手間がかかるのは仕方なく、また、資料の持ち出しには取引先との調整も必要な場合もあるでしょうし、調整つき次第と考えると、今後も徐々に導入する企業が増えていきそうです。
「毎日通勤する必要がなかったこと」に気づいたテレワーク
テレワーク(離れたところで働く)と言っても、毎日在宅勤務ということだけではなく、週に2日ほどは会社でミーティング、というカタチで導入している企業もあるようです。
それでも今まで通勤にかかっていた時間ってなんだったんだ? と思う向きも多いようで、テレワークが求められる「新しい生活様式」が「長丁場」になればなるほど、新しい働き方として定着していくことは予想に難くありません。
文春オンライン
個々の社員の業務内容がほぼ定型化していて、責任の所在もある程度明確な業務に関しては、基本的にはテレワークにして、毎朝毎夕膨大な時間を費やして会社に「通勤」する必要がなさそうであることは広く知られるようになったと考えてもよさそうだ。
テレワークだと、のびのび働けるか?
同じ場所で働いていたこれまでよりも、上司の目が届きにくくなってのびのび働けると考えられる方も多いかもしれません。
ですが、実際はそうでもないようです。
「頑張っている姿」や「会社にいることそのもの」が評価対象にならなくなるので、成果だけが上司の目に入ることになります。
文春オンライン
企業の管理者の立場から見れば、社員が目の前のデスクに座らずに自宅で仕事をすると監視が行き届かなくなり、業務効率が落ちると考えがちだが、実際には社員のその日の成果をトレースすることで個々の社員の働きぶりが逆に手に取るようにわかったという。
確かにテレワークになって同じ場所にいなくなると、上司からの「圧」は感じなくて済むかもしれませんが、より厳格な人事評価に晒されることになりそうです。
いまや「コロナ不況」とも「令和恐慌」とも言われはじめた経済の悪化は、雇用の悪化にまで及び始めていて、コロナ倒産の波も広がり始めています。
テレワーク時代の働き方に合わせていかないと、リストラや解雇といったコロナ不況の波に飲み込まれてしまうかもしれませんので要注意です。
今は混乱の中で慌ただしい生活ですが、スキルアップや資格の取得などを図って不況に備えておくほうが良さそうです。