総務省の調査をもとに、実際に60代が「学び直し」に選ばれている学びをまとめました。
この記事の目次
学び直しって、そもそも何?
「学び直し」に関する議論は、2017年に政府に設置された「人生100年時代構想会議」から始まり、翌2018年に「人づくり革命 基本構想」が取りまとめられました。
この中で「変化に対応できる力」を養うことを目的に、学び直しが重要視されています。
この「人生100年時代構想会議」がキッカケとなって、「学び直し」の機運が社会全体に広がっています。
出典:「人生100年時代構想会議」(首相官邸)
変化に対応できる力がより問われる時代に
背景として、少子高齢化の中の人生100年時代、またSociety5.0の到来などの経済や社会の大きな変化に対応していける、個人の力を養うことが重要と考えられていることがあります。
IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことが出来る社会(Society)のことです。
直訳すると「社会 Ver.5」という意味で、Society 1.0:狩猟社会、Society 2.0:農耕社会、Society 3.0:工業社会、Society 4.0:情報社会に続く、Society 5.0:人間中心の社会と定義されています。
ロボットや自動走行車などの技術革新、また必要な情報が必要な時に提供されることで、少子高齢化・地方の過疎化・貧富の格差などの社会課題の克服が期待されています。
「学び直し」には新しいことにチャレンジすることも含まれる
ところで、今使われている「学び直し」という言葉には、自分がまったく知らないこと、未経験のこと、新しいことを学ぶことも含まれます。
「学ぶ」ということが学校を卒業したら終わりではなく、学ぶこと自体をやり直す、学び続けるといった意味で使われています。
社会・経済の変化はスピードを上げ続ける
また、2020年の新型コロナ感染拡大にともなう社会・経済の混乱もあり、「変化に対応できる力」がより問われる時代に突入したと言っても過言ではありません。
しかも、近年の新型コロナ感染拡大による世界と社会の混乱が、社会・経済の変化のスピードを上げていることを実感されている方も多いのではないでしょうか。
スマートフォンが世の中に登場して約10年ですが(2008年、iPhone発売)、社会や経済・文化がこれほど激変することは予測できたでしょうか?
学び直しが出来る力を養うことも大切
そのために養うべき力である「変化に対応できる力」には、「学び直し」を躊躇わずに抵抗なく行える行動力、つまり「学び直しが、できる力」も含まれていると考えてください。
新しい知見や技術を取り入れることに抵抗感やハードルを下げておくことは、これからの時代を楽しく生きるために必須のスキルとも言えます。
これまでは漠然と「好奇心」とされていた、新しいことにチャレンジする力をスキルとして身に付ける必要がある時代になっていきます。
また次に、スマートフォンのような、まったく新しい機器・マシンが登場したとき、抵抗なく手に取れるようになりたいところです。
60代の3分の1以上が「学び直し」をしている
総務省統計局の「社会生活基本調査」によると、学習・自己啓発・訓練、つまり「学び直し」を、社会人・大人が実際に行動に移している割合は、60代では3分の1以上の34.3%に達します。
ほかの世代に比べると若干比率が下がるものの、それでも多くの60代が「学び直し」にチャレンジしていることが分かります。
新しいことにチャレンジする60代に!
また、有名な話ですが90歳のお婆ちゃんが「60代の頃にバイオリンを始めようか悩んだけど、いい歳だと思ってやめてしまった。あのとき始めていれば30年楽しめたのに」と、ため息をついたという話があります。
人生100年時代と言われる今、40年楽しめる趣味や生きがいを始めるのは今かもしれません。
ぜひ、チャレンジしてみたい「学び直し」を探してみましょう。
60代の「学び直し」にどんなジャンルが選ばれてる?
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
総務省の同じ統計によると、60代の「学び直し」で一番人気があるのが「芸術・文化」です。
これは、ほかの世代では見られない傾向で、60代の方の多くが「学び直し」に趣味や生きがいを求めていることが分かります。
次いで「パソコンなどの情報処理」、「料理・裁縫など家事関係」と続きます。
30代・40代・50代では、それぞれ2位・3位・4位につけている「英語」は6位に後退し、生活や趣味を楽しむことに「学び直し」の意味を見出している60代が多いと言えます。
パソコンなどの情報処理の学び直し
30代後半~40代前半にインターネットの普及が始まった60代の方では(1995年、Windows95発売)、デジタルネイティブ世代と異なり、パソコンスキルは社会人になってから身に付けたという方がほとんどなのではないでしょうか。
また、「パソコンなどの情報処理」は、政府でもデジタル庁の発足が決まるなど、これまで以上に生活にも仕事・ビジネスにも深く関係する場面が増えてくることが確実です。
また、どんな趣味でもネットとまったく無縁なものが少なくなってきていますし、人とのつながりでも重要なツールになっています。
実際に取り組まれている方も増えていますしキャリアアップ・キャリアチェンジ、また長く働くためにも、おすすめの「学び直し」ジャンルです。
歴史・経済・数学などの学び直し
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
年代別に見て、50代から60代にかけて急に人気が高まるのが「歴史・経済・数学など」の人文・社会・自然科学系の学び直しです。
特に歴史の「学び直し」は近年人気になっています。
歴史分野では新しい発見で書き換えられることも多く、小学校・中学校・高校と学んできた内容が変わっている場合もあり、楽しんで学び直しができるジャンルです。
介護関係の学び直し
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
介護関係の「学び直し」を年代別に見ると、50代が突出して高くなっていますが、60代も他の世代に比べて多くなっています。
親御さんの介護や、自分自身の介護も視野に入ってくる年代で介護関係の「学び直し」に取り組まれる方が増えるのが分かります。
また、介護業界は常に求人のある人手不足の業界で、リーマンショック(2009年)の際に、他の業界で失業した方々の雇用の受け皿になったことも記憶に新しいのが60代です。
また、介護と同様に「終活」について関心が高まってくるのも60代の特徴です。
60代の男女で学び直しを比較してみると?
出典:「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
60代の社会人・大人の「学び直し」を男女で比較すると、明確な違いが見られるのが、「料理・裁縫の家事関係」と「商業実務・ビジネス関係」の学び直しです。
この2つのジャンルでは、男女でまったく逆の結果になっています。
料理・裁縫など家事関係の学び直し
料理などの家事関係の学び直しは、生活を楽しむのにとても役立ちます。
食育や食生活について学ばれる方も増えていますし、栄養バランスのとれた食事は生活習慣病などの予防にもつながります。
老後のことも視野に入り始めた60代で料理や家事関係の「学び直し」に取り組むことは、その後の自分や家族の体調管理に、とても役に立ちます。
商業実務・ビジネス関係の学び直し
60代男性でも「学び直し」に選ばれる方が多いのが「商業実務・ビジネス関係」です。
パソコンスキルも重要なビジネススキルであることを考えると、「パソコンなどの情報処理」と合せて、大多数の方がビジネスに役立つ「学び直し」を選ばれていることが分かります。
ビジネスシーンでも新しい価値観や概念、たとえば「ハラスメント」や「個人情報保護」「情報セキュリティ」など、ビジネスや職場環境に必要な新しい知識や概念が登場してきています。
商業実務・ビジネス関係の「学び直し」に取り組むことは、部下や後輩からより信頼される先輩・上司を目指すためにもおすすめです。
60代は趣味や生きがいを求めた「学び直し」を
60代の方が「学び直し」に選んでいるジャンルや傾向をご紹介してきました。
全体的には「芸術・文化」「歴史・経済・数学など」など趣味や生きがいに関する学び直しを選ばれる方が多いのが、60代の特徴と言えます。
老後に備えて、自分なりの生きがいを見つけることに意識が高い世代とも言えるかもしれません。
- 芸術・文化
- パソコンなどの情報処理
- 料理・裁縫などの家事関係
- 趣味などその他
- 歴史・経済・数学などの人文社会・自然科学系
おうち時間が長くなる今、おすすめなのはオンライン習い事
おうち時間を過ごすことが長くなっている今、60代の学び直しにおすすめなのは、オンラインで受けられる習い事です。
勉強・学習から資格取得までスマホで完結する講座など、オンライン習い事が充実してきています。
特にスマホ完結のWEB学習・通信教育だと、電車での移動時間やちょっとした隙間時間を活用した学び直しが可能です。
また、そういった時間を有効活用できるようにプログラムが組まれていますので、無理なく「学び直し」に取り組めて、新しいスキルを身に付けたり、スキルアップが図れたりします。
1日15分・30分でも「学び直し」に充てると、さきざきの人生の楽しみが変わってきますよ♪
ぜひ、ご自分の興味・関心に合った「学び直し」を選んで、充実した時間を送ってください。
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